◆  コラム その六九(なに食べる!? 〜 ランチ 〜)
 毎年の事ながら、六本木の夏は休暇と仕事の方々が入り混じる独特な季節でもあります。休暇を謳歌する爽やかな笑顔の人々、それを受け入れる渦中の苦願が色なす独特の雰囲気になっておりました。そうした賑やかな夏も、お盆を過ぎると残暑ばかりとなりました。朝晩の空気もひんやりとしていて、日中の暑さも一段落したように感じ、少しずつ過ごしやすくなっております。順当にいけば、今年は長く楽しめる秋が訪れるのではないでしょうか。しかし、暑さが落ち着いても台風シーズンが続いておりますので、日頃の備えには十分に気をつけてください。
 さて、お勤めしている中で日常的に「こまった」ことは種々ありますが、その中でも都内ならではの問題の一つに「昼食」があります。勤務時間中にある貴重なお昼休みですから、せっかくなら美味しいと定評のある蕎麦屋・定食屋、あるいは人気・話題のお店などで同僚や気の合う仲間と一緒に昼食をとりたいと思うのが自然な人情でしょう。しかし、東京区部の昼間人口は11,711,537人(平成22年 国勢調査統計より)で、ここ港区だけをみても886,173人(前出)おります。もちろん全員が同じ時間帯に昼食をとるわけではありませんが、この数字からちょっと予測していただければ、評判の如何に関わらず飲食店はみな行列ができており、パン屋・お弁当屋・コンビニなどのお店も大変に繁昌しています。この時間帯では、どの店舗でも店子とお客が協力して効率的に展開できるよう心を一つにしています。これも自然な人情なのでしょう。

 このような事情ですので、のんびりしていると人気メニューから順に次々と品切れてしまい、ついには「どこへ行っても食べられなかった」ということになり得ます。その時は、お菓子やスポーツゼリーなどで我慢することになり、このような状態をランチ難民≠ニ呼ばれています。
 「そんなバカな」と考える方もいらっしゃると思いますが、実際に体験しないとちょっと伝わりにくいところかも知れません。日本は1980年代から「飽食の時代」と言われて久しいですが、21世紀の今日において、23区内の昼食時にはランチ難民が出現するほど逼迫する昼食事情があります。「そんな大袈裟な…」と思われるかもしれませんが、区部で働く人々には日常的にある困った≠アとの一つです。
 その対策として、仕出し弁当を月毎に契約をしたり、朝の出勤前に昼食のお弁当などを買っていく方法もありますが、毎日のことですから、だんだんと面倒になっていきます。そこで再び注目を集めたのが、昔からある手弁当です。この「弁当」は意外にも日本独特の文化と言われています。欧米でも同じようにランチボックスというのがあります。
 一概には言えませんがランチボックスは「包んだものを入れる箱」という性格のもので、ラップで包んだバーガーやサンドウィッチ、あるいはリンゴやバナナなどを入れて携行するための箱をランチボックスと呼ぶらしく、日本のお弁当のようにご飯やおかずを箱に直に入れるものではないようです。
 どんなに合理化を図っても、都内で毎日のようにお昼を外食するのは、一筋縄ではいきません。やはり、忙しくとも手弁当をこしらえるのが楽でしょう。例えば、夕食の残り物を詰めただけでも、弁当があれば昼食の心配がありません。それと同時に時間的にも余裕ができます。その上、「愛妻弁当」という言葉に象徴されるような、家族が作ってくれた物には、少なからず愛情がこもっております。
 しみじみと「ありがたい」と家族愛を感じ、感謝する気持ちが心を広げて、社会的人間性に必要な情(なさけ)≠豊かに養うことができます。何が「快適」で「便利」なのか再認識が喚起され、より豊かで幸せな人生を過ごすことができる心へと、成長することができるのではないでしょうか。